グラム染色は、細菌を紫(陽性)と赤〜ピンク(陰性)に染め分ける、微生物検査の出発点です。この色の違いは、細胞壁の構造の差から生まれます。本記事では、その仕組みと鏡検のポイントを整理します。
目次
1. 染め分けの仕組み
クリスタルバイオレットとヨウ素で複合体を作り、アルコールで脱色する工程がカギです。細胞壁の厚いペプチドグリカン層を持つ菌は色素を保持し、紫のまま残ります。一方、外膜を持ち層の薄い菌は脱色され、後染めのサフラニンで赤く染まります。
陽性菌と陰性菌の違い
| 項目 | グラム陽性 | グラム陰性 |
|---|---|---|
| 色 | 紫 | 赤〜ピンク |
| ペプチドグリカン層 | 厚い | 薄い |
| 外膜 | なし | あり |
| 代表菌 | S. aureus, Streptococcus | E. coli, Pseudomonas |
検査のポイント
脱色のしすぎは陽性菌を陰性に見せる「過脱色」の原因。鏡検では、同一視野の白血球や既知の菌を内部コントロールとして色を判断します。
2. 形態とあわせて読む
色だけでなく、球菌か桿菌か、配列(連鎖・ブドウ状)も同時に評価することで、推定菌種の幅を一気に絞り込めます。たとえば「グラム陽性球菌・ブドウ状」ならブドウ球菌を、「グラム陽性球菌・連鎖状」なら連鎖球菌を第一に考えます。
- グラム陽性球菌(ブドウ状)→ Staphylococcus
- グラム陽性球菌(連鎖状)→ Streptococcus
- グラム陰性桿菌 → 腸内細菌科・ブドウ糖非発酵菌など
「染色性 × 形態 × 配列」の3点セットで読むのが、グラム染色を武器にする第一歩。

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